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2010年1月 8日 (金)

AOSDとは

Adult Onset Still's Diseaseの略で 成人スティル病のことです。
成人スティル病は、発熱、皮疹、関節炎、リンパ節腫脹、肝障害、高度の炎症所見などを主徴とする全身性炎症性疾患である。若年性関節りウマチ(JRA)の中で、発熱、皮疹などの全身症状を主徴とする病型をスティル病と呼び、これと病態が類似し、成人に発症するため成人スティル病と呼ばれる。本症から慢性関節リウマチ(RA)に移行する症例もあることから、RAの亜型とする見方もあるが詳細は不明である。」(以上、難病情報センターHPより)

症状は、熱発、関節症状、皮膚症状はほぼ必発。咽頭痛やリンパ節腫脹も。

検査とその所見の読みかた
【1】10,000/mm3以上の白血球(好中球主体)増多
【2】著明な炎症反応:赤沈亢進とCRP高値
【3】血清フェリチン値の上昇:一般の急性炎症でもしばしば上昇がみられるが,AOSDではその程度が著明である.
【4】血清肝酵素(AST,ALT)の上昇
【5】抗核抗体やリウマトイド因子などの自己抗体が陰性
【6】高γ-グロブリン血症
【7】血清補体価上昇
【8】高サイトカイン血症(INF-γ,TNF-α,IL-6など)
【9】皮膚,筋肉などの組織所見では特異的所見は得られない.

確定診断のポイント
【1】単独で決定的な診断項目はないため,臨床症状と検査所見の組み合わせにより診断する.
【2】定型的皮疹と血清フェリチン値の著増があれば,確定診断に近い.
【3】除外すべき他の疾患との鑑別を慎重に行う.

本疾患では,特に他疾患との鑑別が重要である.高熱,関節痛,皮疹などの主要症候と白血球増多などの所見から,以下の疾患が鑑別としてあがる.
【1】細菌感染症〔特に敗血症⇒,感染性心内膜炎⇒,深在性膿瘍など〕:繰り返しの血液,尿,咽頭培養や腹・胸部の超音波検査などを行って否定する.また各種の抗菌薬投与が効果ないことも治療的診断として大きな参考になる.
【2】その他の感染症:白血球増多が著明でない場合には,EBウイルス感染症⇒やサイトメガロウイルス感染症⇒,リケッチア感染症なども鑑別にあがる.主として血清抗体価により診断する.
【3】結節性多発動脈炎(PN),高安動脈炎,Wegener肉芽腫症などの血管炎症候群⇒:特にPNとの鑑別は難しいことが多い.本疾患が若年者に多いのに対し,PNは中年以降に多いこと,PNは末梢神経症状や筋症状が多く,本疾患より重篤感があることなどの傾向があるが,決め手は生検による組織所見である.PNでは全身性の壊死性血管炎を,そしてWegener肉芽腫症では肉芽腫性の血管炎を認めるが,AOSDでは明らかな血管炎はみられない.またPNやWegener肉芽腫症ではしばしば抗好中球細胞質抗体(ANCA)を認める.さらに,高安動脈炎では脈拍や血圧の左右非対称や血管雑音を認めるが,決め手は血管造影である.
【4】悪性腫瘍〔特に悪性リンパ腫⇒,白血病⇒⇒⇒,Hodgkin病⇒など〕:末梢血の白血球分画,骨髄像,およびリンパ節生検により鑑別を行う.

なかなか診断のつかないとき試みること
【1】熱発時には繰り返し全身の診察を行い,定型的皮疹を探す.
【2】血清フェリチン値を数回測定して常に高値であることを確かめる.
【3】何種類かの抗菌薬を使用して無効であることを確かめる.

予後判定の基準
【1】しばしば再発を繰り返すが,本質的に生命予後は良好である.
【2】少ない頻度(数%以下)ではあるが,血球貪食症候群や間質性肺炎を合併した場合,生命を脅かす危険が生じ,濃厚な治療が必要となる.
【3】経過では,①1回のエピソードのみで終わり,再発も起こさない単周期型(24%),②全身症状の再発を繰り返す多周期型(41%),③関節炎が持続する慢性関節炎型(35%)の大きく3つの型に分けられる.
【4】③の場合はRA様の病態となり,しばしば関節の破壊,変形に進展する.

合併症・続発症の診断
【1】血球貪食症候群:AOSDは高サイトカイン血症症候群の1つとして知られ,重症の場合,合併することがある.
【2】間質性肺炎:稀に合併して進行性のことがある.
【3】続発症としてRA様の病態となる.
【4】続発症としてアミロイドーシスを稀に起こす.
【5】ステロイド薬の副作用に注意する.

経過観察のための検査・処置
【1】白血球数,CRP値:上昇する際に再発の目安となる.
【2】血清フェリチン値:本疾患の疾患活動性を反映する.
【3】しばしば再発を起こすが,その際は初発時ほど症状は著明でない.しかし,症状および上記の検査から再発が極めて疑われる場合には原則として入院治療とする.

治療法ワンポイント・メモ
【1】副腎皮質ホルモン薬中等量(プレドニゾロン30mg/日前後)の経口投与が標準的である.
【2】上記で無効の場合,あるいは血球貪食症候群などの重篤な合併症を有している場合は,プレドニゾロン60mg/日以上,あるいはメチルプレドニゾロン1,000mg/日×3日のパルス療法を行う.これに免疫抑制薬を加えることもある.
【3】RAの慢性関節型をとる場合には,副腎皮質ホルモン薬に加え抗リウマチ薬を投与する.

さらに知っておくと役立つこと
【1】本疾患の病因は不明であるが,何らかの免疫異常を基盤とした炎症性サイトカイン(IFN-γ,TNF-α,IL-6など)が病態形成に大きく関与していると考えられている.
【2】薬剤アレルギー(薬疹,肝障害など)を起こしやすいのも特徴の1つである(約50%).

→インフリキシマブが使われることがある。

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