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2010年1月 7日 (木)

ワクチンを接種する間隔

インフルエンザワクチン接種直前に受けた予防接種が生ワクチンであった場合は、接種した日の翌日から起算して27日以上の間隔をあけます。これは、生ワクチンが体内で増殖することによる相互干渉を防止し、確実に免疫付与するためです。生ワクチンには、ポリオ、MR、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、BCGなどがあります。

インフルエンザワクチン接種直前に受けた予防接種が不活化ワクチンあるいはトキソイドであった場合は、接種した日の翌日から起算して6日以上の間隔をあけます。これは、不活化ワクチンやトキソイドによる副反応の大半は接種後1週間以内に出現するためで、その時期を過ぎれば副反応が生じた場合でも原因を突き止めやすいという理由からです。DPT、DT、日本脳炎、インフルエンザ菌b型(Hib)、肺炎球菌、B型肝炎、A型肝炎、狂犬病、破傷風などの後に接種する場合が、これに当てはまります。

インフルエンザワクチン接種後に他のワクチンを接種する場合は、6日以上の間隔をあけます。これは、わが国のインフルエンザワクチンが不活化ワクチンだからです。

医師が必要と認めた場合は、2種類以上の予防接種を同時に行うことができます。例えば、複数の病気に対する免疫を急いでつけたい場合などがこれに該当します。同時接種の場合は、2種類のワクチンをあらかじめ1本の注射器に混合してはならず、別々の部位に接種します。右上腕と左上腕の組み合わせや、海外の筋注では大腿外側上方も接種部位としてよく選択されます。成人や年長児であれば、一方の上腕に2種類(2本)接種することも十分可能です。なお、米国小児科学会では、「同じ腕に接種する場合は、局所反応がどちらのワクチンによるものであるかを鑑別するために、1インチ(=2.54cm)以上離れた部位に接種する」と勧告しています3)

海外の接種間隔に関する規定は、日本ほど厳密ではありません。米国小児科学会によれば3)、2種類以上の生ワクチンは、「もし同時に接種しないなら27日以上の間隔をあける」としていますが、2種類以上の不活化ワクチンあるいは不活化ワクチンと生ワクチンは「どんな間隔でも接種可能」としています。ただし、まだ使用され始めて間もない結合型髄膜炎菌ワクチンと年長児あるいは成人用DPTワクチン(Tdap)の組み合わせについては、「同時接種でなければ27日以上の間隔をあけること」としています。

わが国では、万が一健康被害が発生した際に適用される制度が、予防接種法一類疾病、二類疾病、任意接種でそれぞれ異なることもあって、接種間隔をあけて一つずつ接種すべきという慎重な意見が多数を占めます。一方米国では、同時接種や異なる接種間隔のエビデンスを積み上げて有効性や安全性に差が無いことが示されています。予防医学の観点からは、同時に複数の接種を行う方が高い接種率を期待できます。わが国においても、今後積極的な臨床研究による実証が進むことを期待します。

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