« ラキソベロンの作用機序 | トップページ | 核の左方移動 »

2010年3月13日 (土)

間質性肺炎

患者さんへ
「「階段を登ったり、少し無理をしたりすると息切れがする・息苦しくなる」、「空咳からせき
が出る」、「発熱する」、などがみられ、これらの症状が急に出現したり、持続したりする」

Interstitial pneumonia:IP

●早期発見と早期対応のポイント

投与から間質性肺炎の発症までの期間は、一般的には、 抗悪性腫瘍薬など細胞傷害性薬剤では数週間から数年の慢性の経過で、免疫反応の関与が考えられる。その他の製剤では1~2 週間で急速に発症するとされる。

(1)副作用の好発時期
投与から間質性肺炎の発症までの期間は、一般的には、免疫反応の関与が考えられる抗菌薬、解熱消炎鎮痛薬、抗不整脈薬(アミオダロン)、抗リウマチ薬(金製剤、メトトレキサート)、インターフェロン、漢方薬(小柴胡湯)などでは1~2 週間、細胞傷害性薬剤である抗悪性腫瘍薬では数週間から数年で発症することが多いとされる。ただし、これに当てはまらない場合もあり、抗悪性腫瘍薬でも早期に発症する場合がある。癌分子標的治療薬であるゲフィチニブでは4週間(特に2週間)以内にみられる事が多いことが知られている。

(2)投薬上のリスク因子
抗悪性腫瘍薬の投与量と肺毒性に関してはブレオマイシンやマイトマイシンC で報告がある。
ブレオマイシン:個人差はあるが全投与量が450~500 mg/m2 を越えると毒性が急速に上がるとされる。腎排泄が80%以上なので腎機能評価も重要である。また、放射線照射の併用あるいは既往もリスクを上昇させる。高濃度酸素投与やG-CSF の併用もリスクであるとする報告がある。
マイトマイシンC:ブレオマイシンほど確立してはいないが、間質性肺炎例の多くが全投与量10 mg/m2 以上との報告がある。シクロホスファミドやブスルファンの肺毒性は投与量に依存せず、少量の場合でも発症することがある。パクリタキセルなどのタキサン系抗腫瘍薬やAra-C 類似化合物のゲムシタビンなどによる間質性肺炎も良く知られているが、その投与量と発症の関係は不明である。
抗不整脈薬のアミオダロン:肺毒性報告例は1 日量400 mg 以上の場合が多いとされる。

(3)早期発見に必要な検査と実施時期
医薬品の服用後、1~2 週程度で、患者が予想外の発熱、息切れ・呼吸困難、乾性咳などを訴えた場合は、ただちに、血液検査を行い、CRP、LDH、KL-6、SP-D 等のマーカーを検索すると同時に、胸部X線写真、胸部CT、動脈血ガス分析などを早急に進める。抗悪性腫瘍薬を投与する際および投与後の経過観察では、定期的に、血液検査、胸部X線写真を撮影し、息切れ、咳などの症状が出現した場合には、すぐに動脈血ガス分析、胸部CT を行う。ことにHRCTを含む胸部CTは病型や病変の広がりを判断する上で重要である。

●副作用の概要
薬剤性間質性肺炎は、1980 年以前にはブレオマイシンや金製剤による報告が多く、それ以後は抗菌薬、解熱消炎鎮痛薬、漢方薬、インターフェロン、各種抗悪性腫瘍薬、免疫抑制薬など多くの薬剤による報告がなされた。また、上皮成長因子受容体 (EGFR) チロシンキナーゼ阻害を機序とした分子標的薬ゲフィチニブなど新規抗悪性腫瘍薬による間質性肺炎が報告されている。薬剤性間質性肺炎は、直接的細胞傷害作用(医薬品自体、他の医薬品との相互作用、代謝の異常などによる医薬品の蓄積)や間接的細胞傷害作用(炎症やアレルギー)により発症すると考えられている。

発生機序
大きく2 種類に分けられる。一つは、抗悪性腫瘍薬のような細胞傷害性薬剤によって肺の細胞自体が傷害を受けて生じるもので、使用してから発症まで慢性(数週間~数年)に経過するタイプである。もう一つは、医薬品に対する免疫反応が原因と考えられるもので、医薬品の使用後、急速(1~2 週間程度)に発症するとされる。ただし、抗悪性腫瘍薬でも後者の発症様式をとるもの、またゲフィチニブのように発生機序がよくわかっていないものもある。

・医薬品ごとの特徴
抗菌薬による間質性肺炎では、pulmonary infiltrates with eosinophilia いわゆるPIE 症候群の形をとるのが典型とされる。非ステロイド性抗炎症薬では、非心原性肺水腫ないし過敏性肺炎の形をとるとされる。

●治療方法
治療としては、まず原因と推測される医薬品を中止することである。急速に増悪する場合や重症例では、パルス療法を含めたステロイド剤投与が行われる。
処方例:
① メチルプレドニゾロン 1 g/日3 日間(点滴静注)
② 以後プレドニゾロン 1 mg/kg 体重/日
症状が安定したら2 割ずつ2~4 週ごとに漸減。

|

« ラキソベロンの作用機序 | トップページ | 核の左方移動 »

副作用・有害事象」カテゴリの記事

疾患・病態」カテゴリの記事

臨床医学系」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1253618/34320985

この記事へのトラックバック一覧です: 間質性肺炎:

« ラキソベロンの作用機序 | トップページ | 核の左方移動 »