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2010年3月 6日 (土)

感度、得意度、陽性的中度

【設定1】
胃癌のスクリーニング検査で母親が陽性となった。どうする?
【設定2】
市販の妊娠検査キットで恋人が陽性となった。どうする?

陰性・陽性という2値の値をとる検査の性質は,感度(sensitivity)と特異度(specificity)で規定される。疾患ありに対して陽性と なる真陽性率が感度,疾患なしに対して陰性となる真陰性率が後者である。上記2設定に対して感度はともに90%,特異度はともに95%としよう。この仮定 により,上記2設定のデータ発生メカニズムは同様,データも同様ということになる。しからば行動も同じになるべきであろうか?

「fig3.png」をダウンロード

 おそらく設定1での合理的行動は,不安を抱かせず精密な検査を受けさせることであろう。設定2でのそれは状況に依存するが,喜ぶか慌てるかであろう。この違いは事前確率の違いに起因する。図3に示すように,胃癌スクリーニング対象者中での胃癌の事前確率はきわめて小さい。ここでは1,000人中5人の0.5%としよう。5人の癌患者のうち 4.5人は陽性と診断され,癌なし対象者995人のほとんどは陰性と診断されるものの,5% 49.75人が陽性と診断されてしまう。したがって陽性者のうち真に癌ありの患者の割合(事後確率)はわずか8.3%になってしまう。この事後確率のこと を陽性的中度ともいう。スクリーニング検査においては陽性的中度は低く,一方,陰性の場合に癌なしの陰性的中度は高い。つまり陰性のときに安心し,陽性の ときには慌てず再検査を受ければよいのである。
 一方妊娠検査では,事前の確率はおそらく高い。付帯状況が存在しなければ誰もあえて検査を受けないであろうから。仮に事前の確率を50%とすると,陽性的中度・陰性的中度は94.7%,90.5%とともに高い。

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