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2011年11月10日 (木)

アセトアミノフェンの肝障害

アニリン系の非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)で、中毒性肝障害を惹起する。適正な使用量では安全で有効な解熱鎮痛薬であるが、最少量2.4g       の服用での死亡例の報告がある。一般用医薬品にも使用されているが、医師の処方にて使用される場合も多い。アセトアミノフェンの約50 %は酵素UGT1A6       によりグルクロン酸抱合され、約30 %は硫酸抱合され、Gilbert症候群で肝障害のリスクが高いとの報告もある。日本人の同症候群患者では遺伝子UGT1A1       の多型のある症例が存在し、遺伝子UGT1A6 多型とリンクしているサブグループが存在するため、アセトアミノフェンのグルクロン
      酸抱合能が低下している場合もあり得る。硫酸抱合の異常と肝障害発症に関する報告は見当たらない。
      投与されたアセトアミノフェンの5~10%はチトクローム P450 (CYP)2E1 により、N-アセチルベンゾキノンイミン(NAPQI)へと代謝され、さらにグルタチオン抱合されて尿中へと排泄される。NAPQI       は反応性が高く肝細胞の各種酵素・蛋白と共有結合、一部は非共有結合をして、酵素等の活性低下をもたらし、脂質過酸化促進にも作用する。残り4~8 %は、CYP       2A6 によって無害なカテコール代謝物(3-ハイドロキシアセトアミノフェン)へと代謝される。
      NAPQI が何らかの原因により肝細胞内で多量に生成され蓄積すると肝障害が惹起されるが、一般に高齢者では硫酸抱合能やグルタチオン合成能が低下しており、肝障害が発症しやすいと考えられる。CYP       2E1 は肝小葉の中心静脈周囲(zone 3)の肝細胞に高濃度に含まれ、一方zone 3 では酸素分圧が低くグルタチオン濃度も低いことが判明しており、アセトアミノフェン肝障害では肝細胞壊死がzone       3 を中心に発現する。トランスアミナーゼの上昇は急性ウイルス肝炎に比して高く、用量依存性に肝障害が悪化するため、高用量の服用では劇症肝炎を発症する。図15       に肝障害発症の模式図を示す。
      慢性の飲酒者ではCYP 2E1 が誘導されており、またグルタチオン合成阻害による濃度の低下もあり、肝障害の発症が起こりやすく重症化する危険性がある。CYP       2E1にて自身が代謝され一方でCYP 2E1 を誘導するフェノバルビタールやイソニアジドなどの薬物は、同時投与しておればアセトアミノフェン代謝を阻害している可能性があり、中止した場合にはアセ トアミノフェンからNAPQIへの代謝を促進し、肝障害を発症しやすい。1999       年の全国調査ではDLSTは検査した15 例中9 例で陽性で、アレルギー性機序による発症例が存在している可能性も否定出来ない。

本剤の過量投与(150mg/kgまたは250mg/kgの単回投与、4000mg/dayを超える投与量)により肝毒性を生じる。長期間の絶食や肝硬変によりグルタチオン貯蔵が枯渇している患者では、肝毒性の発現に注意を要する。

経口摂取4時間後のアセトアミノフェン血清中濃度の推定方法

   
血清中濃度(μg/ml)=0.59 × 摂取量(mg/kg)

本剤過量摂取時は、解毒としてアセチルシステイン140mg/kg(初回)以降、70mg/kgずつ4時間毎に17回、計18回(72時間)の経口投与または胃管投与させる(注射はダメ)。8時間以内に開始させる

ちなみに 

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