低マグネシウム血症について
【1】血清Mgが1.2mg/dL(1mEq/L)以上では無症状のことが多い。
【2】低Mg血症による症状は,神経筋接合部での興奮性の亢進に基づくテタニー,腱反射亢進,Chvostek徴候・Trousseau徴候の陽性などに加え,振戦,痙攣,小脳性運動失調,筋力低下,無気力,うつ,イライラ,せん妄などである。
【3】心症状としては,心房性および心室性不整脈,PR・QT間隔の延長,T波の平低化・陰転化などがみられる。さらに,低Mg血症はジギタリス中毒に対する心筋感受性を高める。
【4】低Mg血症には低Ca血症,低K血症が高頻度に合併し,これが臨床症状をさらに修飾する。低Ca血症はPTHの分泌および作用発現の両者を阻害することによりもたらされる。低K血症は,尿細管K再吸収の障害によりもたらされる。低Mg血症に起因する低Ca血症や低K血症に対して,これらに対する治療を行っても正常化は困難で,Mgの補充によりいずれも正常化する。
緊急措置としては
【1】重症の低Mg血症(<1.2mg/dL,<1mEq/L)は,経静脈的にMgを補充することにより一般に速やかに改善する。
【2】腎機能が正常であれば,通常1時間あたり2~4mEqの補充により血清Mg濃度を2.4~3.6mg/dL(2~3mEq/L)程度に維持できる。
【3】1日あたり100mEq以下の補充にとどめることで,2日後の血清Mg濃度は一般に5mg/dL(4mEq/L)以下に維持できる。
【4】腎機能が正常な場合には1日あたり最大400mEqを排泄可能であるが,たとえ軽度の腎機能障害があってもMg排泄は1/2~1/3にも低下しうるので,常に血清Mg濃度を測定しつつ補充する。
硫酸マグネシウム補正液は1mEq/mLで本剤は1 管(20mL)中に硫酸マグネシウム水和物(MgSO4・7H2O)2.46g(0.5mol/L)を含有する。必ず希釈して用いる。通常1A投与に30分くらいはかけたほうが良いと思う。
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