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2011年12月19日 (月)

授乳婦に対してリンコデOK?

http://www.watarase.ne.jp/aponet/news/091202.html

 厚労省は1日、コデイン系成分を含む製品(OTC薬も含む)について、これらの製品を服用中は授乳を避けるなどの注意喚起を記した添付文書の変更を指示しました。

使用上の注意改訂情報(平成21年12月1日指示分、15-19)(PMDAウェブサイト)

 これは、海外などの研究で授乳婦がコデインを服用した場合、ごく稀ではあるが、コデイン服用後代謝の過程(迅速代謝)でできたモルヒネが乳汁に移行し、これを飲んだ乳幼児が呼吸抑制などの有害事象を起こす可能性があるという報告があるため(TOPICS 2007.08.18)です。

 一部医療用医薬品については、既に「授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせること」などの記載はありましたが、今回「母乳への移行により、乳児でモルヒネ中毒が生じたとの報告がある」との記載を追記することで海外との整合性を図ったようです。

 また、フスコデ、セキコデ、オピセゾールコデイン、カフコデN、濃厚ブロチンコデインなどのジヒドロコデインが配合された製品についても、類似化合物(コデイン)で、母乳への移行により、乳児でモルヒネ中毒が生じたとの報告があるとして、「授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせること。」に添付文書が改められます。

 一方、OTC薬については、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩、リン酸ヒドロコデインセキサノールのいずれかを含有する製剤について、[してはいけないこと]の項に「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」が追記され、[相談すること]の項の「授乳中の人」がを削除されるそうです。

 日本人には迅速代謝を起こす遺伝子の型を持つ人は1%程度にすぎないことや、ジヒドロコデインが該当しなかったということで、注意喚起はあえてしなかったのかもしれませんが、米FDAの注意喚起(TOPICS 2007.08.18)より何と2年以上も遅れましたね。

 英国では、乳幼児を持つ保護者向けの冊子で、授乳婦はコデイン配合剤を使用しないように明記されている(TOPICS 2009.10.30の “Birth to Five (2009 edition)” )ことを考えると、日本でも授乳婦にしっかりとこのことについて注意喚起する必要がありそうです。(授乳婦本人には問題ないのかな?)

 これで、多くのOTC風邪薬・咳止め薬は添付文書が余儀なくされます。いっそのこと、ついでに小児用風邪薬についても注意喚起の変更記載を行えばいいと思うのですが。

関連情報:TOPICS
  2007.08.18 コデイン服用後の有害事象は遺伝子の型によって左右される
  2009.10.30 妊婦と乳幼児のためのガイドブック(英国)
  2009.11.11 小児用OTC風邪薬、添付文書の変更に踏み込まず

コデイン服用後の有害事象は遺伝子の型によって左右される

投稿者: アポネット 小嶋

 米FDAは17日、授乳婦(nursing mothers)に対し、ごく稀ではあるが、コデイン服用後代謝の過程でできたモルヒネが乳汁に移行し、これを飲んだ乳幼児が呼吸抑制などの有害事象を起こす可能性があるとして、注意喚起を行っています。

FDA Warning on Codeine Use by Nursing Mothers
 May Increase Chance of Serious Side Effects in Infants
 (FDA 2007.8.17)
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/2007/ucm108968.htm

Use of Codeine Products in Nursing Mothers(FDA 2007.8.17)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/
PostmarketDrugSafetyInformationforPatientsandProviders/ucm118108.htm

日本語訳概要が、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報)Vol.5 No.18に掲載されています。
  http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly5/18070906.pdf

 コデインは通常、80%が肝臓中のCYP3A4で代謝され、ノルコデインやコデイン-6-グルクロニド(6位の水酸基がグルクロン酸抱合)になる他、10%がCYP2D6によってモルヒネに代謝され、この一部が中枢に働き鎮痛作用を示します。

 今回問題になっているのがモルヒネに代謝するCYP2D6で、CYP2D6のうちの遺伝子の特定の型ではコデインが超迅速に代謝(ultrarapid metabolisum)されるため、モルヒネが体内で多くできてしまうそうです。2004年のNEJM 誌にはコデイン服用後のモルヒネの血中濃度が健常者の20倍~80倍に達するとした事例も報告されています。

Codeine Intoxication Associated with Ultrarapid CYP2D6 Metabolism
   (NEJM 2004;351: 2827-2831)
   http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/351/27/2827

 咳止めでもコデイン中毒に!びっくり。(薬辞苑From Ph.由紀 2005年6月18日)
 http://www.officemiks.com/yakujien/fromph2/nikki.cgi?act=browse&nmb=236&year=05

 カナダでは、コデイン+アセトアミノフェンの製剤を、会陰切開や帝王切開時の痛みを軽減するために広く使われ、また母乳で育てる習慣も多いことか ら、コデイン授乳後の母乳を飲んだ乳児が、呼吸抑制や嗜眠などを起こしたのち死亡する事例も報告されています。このため、専門家からは授乳婦がコデインを できるだけ使うべきではないとする意見も示されています。

Safety of codeine during breastfeeding: Fatal morphine poisoning in the breastfed neonate of a mother prescribed codeine. (Canadian family physician 2007;53: 33-35)
  http://www.cfp.ca/cgi/content/full/53/1/33(上記NEJM 誌論文にもリンク)

 今回の注意喚起はあくまでも授乳婦を対象としてものですが、モルヒネは授乳婦の中にできるわけですから、当然授乳婦本人もモルヒネによる呼吸抑制 などの中毒反応がおこる可能性があります。このためFDAでは、医療専門職に対し、こういった有害事象が起こる可能性があることを授乳婦に伝えるととも に、異常な眠気、錯乱、呼吸抑制、ひどい便秘などの症状が発現しないかどうか乳児だけではなく母親についてもモニターするよう求めています。

Information for Healthcare Professionals Use of Codeine Products in Nursing Mothers(FDA 2007.8.17)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/
PostmarketDrugSafetyInformationforPatientsandProviders/ucm124889.htm

 FDAの発表によれば、迅速代謝を起こす遺伝子の型を持つ人は人種により差はあるものの、日本人でも1%程度いるとのことです。私たちもコデイン の調剤時やコデインが含まれたOTC(咳止めアネトンなど)を販売する場合は副作用の発現には十分注意を払う必要があるのではないでしょうか。

関連情報:授乳婦への薬の服用~薬の母乳移行の観点から~
      (第81回アポネットR研究会報告)

参考:FDA warns nursing moms of pain drug risk
     -Side effect of codeine can cause overdose in breast-feeding infants
    (MSNBC 2007.8.17 AP配信)
       http://www.msnbc.msn.com/id/20319327/
   Codeine can turn toxic in nursing mothers: doctor(CTV Ca 2006.5.11)

8月18日 18:30掲載 9月10日リンク追加 2009年12月2日リンク再設定

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