疾患・病態

2011年3月25日 (金)

リンゴ病

子供によく見られる病気、りんご病。正式には「伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)」という、パルボウイルスによって起こる病気です。

りんご病の症状・期間
このように頬が赤くなって、リンゴのような感じになります
 
頬がりんごのように赤くなるのが特徴のりんご病。
 
始めに頬が赤くなり、手足にレースカーテンのような「紅斑」という赤い発疹が出て、時に体中に広がります。赤みは約1週間で一度消えますが、その後も紅斑が出たり消えたりする症状が3~4週間程度続きます。
 
顔が赤くなる1週間~10日前に微熱や風邪のような症状が出るのも特徴。このときがウイルスが血液中で最も増えた状態で、感染力が強い時期です。本来ならこの時期には学校などを休んで隔離されるべきなのですが、現実的にこの時点でりんご病と診断することはほぼありません。
 
一方、発疹が出てきたときにはウイルスは非常に少なく、感染力はほとんどありません。つまり、りんご病として赤みが出る症状が出た時点では隔離の必要がなく、学校などを休む必要はありません。

りんご病の原因・感染力
 
原因は「ヒトパルボウィルスB19」というウイルスです。このウイルスは、保持者のツバなどからうつる飛沫感染と、皮膚や手すりなどについたウイルスに触ってしまうことでうつる接触感染により人から人に感染します。感染から発症までの潜伏期間は10~20日程度。
 
前述通り、りんご病の発疹が出る1週間ほど前に最も強い感染力を持つため、学校などで顔に紅斑が出ているりんご病の人がいた場合は、すでに感染していることが多いです。しかし、感染しても症状が出ない不顕性感染(ふけんせいかんせん)も場合も多いので、必ずしも発疹が出るわけではありません。
 
紅斑は同じように赤みの出る風疹や、発熱や喉の痛みを伴う溶連菌感染症と間違われることがあります。膠原病のSLEという病気でも頬が赤くなることがあります。溶連菌感染症やSLEなどの病気は重症化する恐れがあり、早期治療が必要。りんご病と思い込んで違う病気を放置しないためにも、正しく検査してりんご病と診断を受けることが大切です。

りんご病の検査・診断
 
りんご病は、医師が頬の赤さと手足の紅斑状態から診断します。また、溶連菌感染の可能性を消すために、溶連菌の迅速検査を行って陰性か確認します。
 
以前はりんご病の確定診断法として、喉を綿棒で擦り、ウイルスの有無を確認する方法や、血液検査などが行われていました。現在は保険診療での検査に制約があり、妊娠中の感染など特殊な場合を除いて、通常は確定診断のための検査は行っていません。

大人・妊婦のりんご病の症状・検査
 
成人がりんご病に感染した場合、頬は赤くならず手足だけに発疹が出る場合があります。発疹の症状も子供より長く、3週間続くこともあります。発熱や関節痛、全身倦怠感を伴い、子供に比べると重症化することが多いのが特徴。
 
特に注意が必要なのは妊婦。妊娠中にりんご病が重症化すると、赤ちゃんに流産や胎児貧血などの深刻な影響が出る恐れがあるため、りんご病に感染したかどうかを早期段階で確定診断する必要があります。
 
妊娠中に紅斑が出た場合は、体内にりんご病のウイルスがあるかを調べるため、通常は行わない「血液検査」でヒトパルボウイルスB19の抗体を検査します。妊娠中に限り、保険診療で検査することが可能です。

    園や学校で流行する病気の一つに「りんご病」があります。
    ほっぺがりんごのように真っ赤になるのですが、普通どおりに生活したり、登園・登校してかまわない感染症です。
 
    もともと血液の病気をもっている方や、妊婦さんがかかると困ったことがおきるので、注意が必要です。
 
■りんご病とは
 
    ほっぺがりんごのように赤くなるので、りんご病と呼ばれています。
    太ももや腕にも、赤い斑点やまだら模様ができます。
    頬はほてって、かゆくなることもあります。
    皮膚があたたかいとかゆみが強くなります(日光にあたったときや、お風呂上がりなど)。
    熱はでません。
 
    大人は、熱や、強い関節痛がでがちです。
 
■治 療
 
    かゆみ止めの薬を使うこともあります。
    そのままで、約1週間で赤みがひいていきます。
 
■家庭で気をつけること
 
    ■生活 -- 普通でかまいません。
 
    ■食事 -- いつもと同じです。
 
    ■入浴 -- 入ってかまいませんが、暖まると赤みとかゆみが強くなりますので、ほどほどに。
 
    ■運動 -- 普通でいいのですが、汗をかいたり、日光にあたると赤みとかゆみが強くなりますので、ほどほどに。
 
■こんなときはもう一度受診を
 
    ■かゆみが強くなったとき。
 
    ■高い熱が出たとき。
 
    ■元気がなくなったとき。
 
■園・学校
 
    頬が赤くなったときは、すでに伝染させる時期はすぎていますし、本人がつらい症状はありませんので、そのまま登園・登校していてかまいません。
    でも、頬があまりにかゆいときや、だるいときなどは、お休みした方がいいかもしれません。
 
■りんご病をおこすウイルス
 
    りんご病は、ヒト・パルボウイルスB19という名前のウイルスによる感染症です。
    日本人では、たいがいの方が小児期に免疫を獲得していて、大人になってからかかる人は少ないようです。
 
    大人の方がかかると、熱や関節痛などの症状が強いのですが、特に妊婦さんは流産の原因になることがあり、注意が必要です。
 
■りんご病と流産
 
    りんご病をおこすウイルスは、赤血球を作る細胞(骨髄の中にある)をこわす働きがあります。
    普通の方にとっては、多少赤血球ができなくてもたっぷりと余裕があるので、心配な症状は何もおきません。
 
    しかし、もともと赤血球の病気(遺伝性球状赤血球症といって、赤血球の形の異常がある病気。日本人ではまれ。)があると、急激に重症な貧血がおきることがあります。
 
    また、妊娠中の方がかかると、胎児の赤血球が壊され、流産の原因になることも知られています。
    流行している時には、妊婦さんは注意が必要です。

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2011年2月 1日 (火)

DVT診断にはD-ダイマー

深部静脈血栓症 Deep Vein Thrombosis

(医薬品の副作用として血栓塞栓のリスクがあるときはチェック)

診断のポイント

 発症2週間以内の急性例では,迅速な診断と治療が必要である。

【1】四肢の急な浮腫腫脹,静脈怒張,疼痛(発症は下肢がほとんどで)がみられる。

【2】線溶系マーカーの高値(特にDダイマー)。

【3】超音波検査,造影CT,MR venographyで血流信号の消失,血栓像を認める。

【4】周術期,長期臥床,悪性疾患,高齢者などに発生しやすい

検査とその所見の読みかた

【1】血液検査で凝固線溶系マーカーの上昇を認める。特にDダイマーは病態を反映し,正常なら本症は否定的である。

【2】脈波検査:空気容積脈波検査により静脈容積,最大静脈還流量の低下を認める。

【3】超音波検査:第一選択の検査法である。圧迫法による静脈の虚脱不良,血栓像,血流信号消失を認める

【4】造影CTMRI:CTでは造影による静脈相で血栓の描出,MR venographyで静脈血流の消失を認める

【5】静脈造影:静脈の閉塞,血栓による透亮像を認める。本検査法は侵襲的治療の際など限定して行われるのみとなってきた。

確定診断のポイント

 Dダイマーが高く,画像診断上血栓像を認める場合。

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2010年5月 3日 (月)

心不全の症状

心不全といえば・・・
 胸部Xpによる心拡大や肺水腫が代表的な症状であるが

左心不全の症状
・動悸、息切れ、疲れやすさ、呼吸困難(肺うっ血による)
右心不全の症状
・鬱血、浮腫(足のむくみなど)、肝腫大、腹水

→初期診断は加齢による症状や呼吸器疾患と合併してると意外と難しい。
しかし、BNPは有用!!

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2010年5月 2日 (日)

BNP

BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド:brain natriuretic peptide)は心臓(おもに心室)から分泌されるホルモンで、利尿作用、血管拡張作用、交感神経抑制、心肥大抑制などの作用があり、心筋を保護するように働く。心臓に負荷が増えたり心筋の肥大がおこると増加するので、血液中の濃度を調べることで、心臓の状態がわかる。

→自覚症状を呈する前に上昇することから、初期診断に非常に有用。「心不全の病態把握」「心不全の診断」のため保険適応可能。

※正常値は20pg/mL未満であるが、実際は、100以上で心不全疑いが強いと判断する。

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2010年4月 3日 (土)

肺高血圧症とは

血液は右心室から肺動脈を通って肺へ送られます。肺では、二酸化炭素を血液中から取り出し、酸素を血液中に取りこみ ます。普通は、左心室に比べて右心室の壁は薄く、これは右心室が血液を肺動脈へ送り出すのに、比較的少ない筋肉と労力しか必要としないからです。一方、左 心室は血液を全身に送り出さなければならないため、より強固で筋肉も多くなっています。さらに、肺動脈を通る血圧は全身の血圧より低く、全身の血圧の正常 値が約120/80mmHgであるのに対し、肺動脈の血圧は25/15mmHgしかありません。

肺動脈の血圧が異常に上昇することを肺高血圧症といいます。やがて上昇した血圧は、太さを問わず肺動脈を損傷させま す。毛細血管の壁は厚くなり、血液と肺の間で、正常な酸素と二酸化炭素の交換ができなくなります。そのため、血液中の酸素濃度が低下します。酸素濃度の低 下は肺動脈の狭窄を起こします。この変化によって、肺を循環する血管の血圧がさらに上昇します。

肺高血圧症では、右心室は肺動脈を通して肺へと血液を送り出すのが困難になります。やがて右心室は肥厚して拡張し、 肺性心と呼ばれる心不全(心不全を参照) を引き起こします。

一部の患者では、血液中の酸素不足を補うために骨髄が大量の赤血球を産生し、赤血球増加症(骨髄増殖性疾患: 真性赤血球増加症を参照)という病気を起こすことがあります。過剰な赤血球のために血液はより高濃度に、より粘着性が高くなるので、心臓にかかる 負担はさらに増加します。これらの変化によって、肺性心の患者では、肺塞栓症(肺塞栓症を参 照)を発症するリスクが高まります。なぜなら、粘り気の強い血液は集まって、主に脚の静脈内に血液のかたまりをつくり、このかたまりが脚の静脈壁からはが れて肺へと運ばれるためです。

肺性心と肺高血圧症は同義語と思われがちですが、そうではありません。肺高血圧症は肺性心を起こす原因です。肺性心 の患者はすべて肺高血圧症です。しかし、やがて肺性心を発症することが多いとしても、肺性心を発症していない肺高血圧症の患者もいます。

原因

肺高血圧症には、原発性と続発性の2種類があります。原発性肺高血圧症は続発性肺高血圧症ほど一般的な疾患ではあり ません。原発性肺高血圧症の発症原因は明らかではありませんが、肺動脈の筋肉層のけいれんや萎縮によって始まると考えられています。原発性肺高血圧症にか かる女性は男性のほぼ2倍に上り、診断時点での年齢は、半数が35歳以上です。続発性肺高血圧症は、肺の外観や機能に影響を及ぼす別の疾患によって起こり ます。

続発性肺高血圧症は、肺への血液の流れを妨げる疾患や、血液中の酸素濃度を持続的に低下させる疾患が原因で発症しま す。最も一般的な原因の1つは、慢性閉塞性肺疾患(慢性閉塞性肺疾患を 参照)です。肺がこの疾患にかかると、心臓は肺へ血液を送り出すのにいっそうの努力が必要になります。やがて慢性閉塞性肺疾患は、肺の内部の毛細血管や肺 胞を破壊します。慢性閉塞性肺疾患によって肺高血圧症が起こる原因として最も重要なのは、血液中の酸素濃度が低下して肺動脈が狭くなることです。

肺高血圧症を起こす別の疾患には、肺の組織に広範囲の瘢痕化が生じる肺線維症(浸潤性肺疾患: 特発性肺線維症を参照)があります。瘢痕化した組織ではその部分を循環する血管が損傷を受けているので、血液が非常に流れにくくなります。肺高血 圧症を起こすその他の肺疾患としては、嚢胞性線維症(嚢胞性線維症を 参照)や、アスベスト肺(職業性肺疾患: アスベスト肺を参照)、珪肺症(職業性肺疾患: 珪肺症を 参照)など特定の職業性肺疾患があります。

あまりみられませんが、手術や外傷などで広範囲の肺組織が失われたり、心不全、強皮症、ピックウィック症候群(呼吸 機能が低下するほどの肥満症)、呼吸筋を巻き込む神経疾患、慢性肝疾患、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、デクスフェンフルラミン‐フェンテルミン (食欲抑制薬)などのダイエット薬によっても、肺高血圧症は起こります。肺高血圧症が突然発症した場合は肺塞栓症(肺塞栓症を参 照)が原因です。これは、肺動脈の内部に血液のかたまりが詰まる重大な病気です。

症状

肺高血圧症の最も一般的な症状は激しい運動時に起こる息切れで、この病気が進行した患者のほぼ全員にみられます。激 しい運動で、頭がくらくらしたり疲労感を感じたり、狭心症のような胸痛もよくみられます。全身の組織に十分酸素が行きわたっていないため、患者は脱力感を 感じます。せきや喘鳴(ぜんめい)など他の症状はたいてい、肺の原因疾患によって生じます。特に脚でみられる浮腫(むくみ)は、静脈から組織内へ液体が漏 れ出すために起こります。普通、浮腫は肺性心が起きている徴候です。

肺高血圧症の患者の一部では、結合組織性の病気、特に強皮症(結合組織の自己免疫疾 患: 強皮症を参照)がみられます。この2つの病気を発症すると、肺高血圧症の症状が現れる前にレイノー現象(末 梢動脈疾患: レイノー病とレイノー現象を参照)を起こし、これは肺高血圧症が発症する数年前にみられることもあります。

原因は明らかではありませんが、肺高血圧症の患者は、肺高血圧症を発症する何年も前に関節痛を起こす場合がありま す。

診断

原因となる肺疾患がある患者では、症状をもとに肺高血圧症を疑います。胸部X線検査では、肺動脈の拡張が認められま す。心電図や心臓超音波検査(心エコー)を行うと、肺性心の発症前から右心室に特定の病気が認められます。たとえば心エコーでは、右心室の肥厚化や、右心 房と右心室の間にある三尖弁を通過する血液の一部の逆流が確認できることがあります。肺機能検査では、肺の損傷の程度がわかります。腕の動脈から血液を採 取し、血液中の酸素濃度を測定します。

肺高血圧症の診断を確定するには、腕または脚から静脈を通して右心室までチューブを通し、右心室と肺動脈の内部の血 圧を測定することが必要です。

治療

続発性肺高血圧症の治療は、原因となる肺疾患に対する治療が中心です。血管拡張薬には、カルシウム拮抗薬、一酸化窒 素、プロスタサイクリンなどがあり、これらは強皮症、慢性肝疾患、HIV感染症などと関連する続発性肺高血圧症に有効です。とはいえ、肺疾患によって起こ る続発性肺高血圧症に対してこれらの薬が効くかどうかはまだ証明されていません。ほとんどの原発性肺高血圧症に対し、プロスタサイクリンなどの血管拡張薬 は肺動脈の血圧を劇的に下げます。プロスタサイクリンは、手術によって皮膚の内部に留置されたカテーテルを通して静脈内へ注入されます。この薬によって患 者の生活の質(QOL)は改善し、生存期間は延長し、緊急に行う肺移植は減少しました。しかし、この薬の使用は一部の患者に危険を伴うため、最初に心カ テーテル検査室で血管拡張薬の効果を調べます。現在、プロスタサイクリンの皮下注射が可能になり、効果がみられる患者もいます。

経口投与できる新薬のボセンタンが有効な患者もいます。プロスタサイクリンと同じ種類のイロプロストは吸入薬で、プ ロスタサイクリンよりも合併症のリスクはかなり低いです。

肺高血圧症の患者の血液中の酸素濃度が低下している場合、鼻カニューレや酸素マスクを通して酸素を持続的に吸入させ ると、肺動脈内の血圧が下がったり、息切れが緩和することがあります。利尿薬は、全身にたまった液体を減少させるとともに肺にたまった液体も軽減させて、 肺でのガス交換を改善すると考えられています。抗凝固薬は、血液のかたまりの形成および肺塞栓症(肺塞栓症を参 照)の発症のリスクを軽減するために処方されることがあります。

片肺または両肺の移植は、原発性肺高血圧症の治療法として確立されています。移植を行わないと、ほとんどの人が診断 されてから2〜5年で死亡します。移植は、原因疾患の治療がうまくいかなかった重い続発性肺高血圧症に対して行われることもあります。

以上、メルクマニュアルより

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2010年4月 1日 (木)

核の左方移動

細菌感染症では好中球が増加します。細菌感染により組織が損傷され、好中球が細菌を貪食消化(消費)されると、末梢血の好中球を補うために骨髄のプールから放出されるためです。なお、敗血症など重症感染症では組織での消耗が激しく、好中球数が減少するので要注意。

さて、好中球は前骨髄球から有糸核分裂によって成熟細胞である後骨髄球(metamyelocyte)へと分化増殖します。さらに後骨髄球になると分化せずに桿状の核を持っている桿状核球(stab cell or band cell)から核が3~4つに分葉した分葉核球(segmented cell)へと成熟し末梢血に現れます(一般的に分葉核球がほとんどで桿状核球は白血球の10%前後)。

感染時には骨髄プールから急速に末梢血に好中球が動員されるため、桿状核球の割合が増え、後骨髄球まで出現することがあります。これをArnethの核左方偏移(left shift)と呼びます。すなわち、急性炎症期などでは未成熟の(=分葉核球に至る前の)桿状核球などの多い末梢血になるということです。これは、核の分葉数と好中球との関係をグラフに描いたときに、幼弱な好中球の比率が増加すると、最も好中球数が多い分葉数(ピーク)がグラフ上で左側、つまり分葉核数の少ない方 にシフトすることから、そう呼ばれます。

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2010年3月13日 (土)

間質性肺炎

患者さんへ
「「階段を登ったり、少し無理をしたりすると息切れがする・息苦しくなる」、「空咳からせき
が出る」、「発熱する」、などがみられ、これらの症状が急に出現したり、持続したりする」

Interstitial pneumonia:IP

●早期発見と早期対応のポイント

投与から間質性肺炎の発症までの期間は、一般的には、 抗悪性腫瘍薬など細胞傷害性薬剤では数週間から数年の慢性の経過で、免疫反応の関与が考えられる。その他の製剤では1~2 週間で急速に発症するとされる。

(1)副作用の好発時期
投与から間質性肺炎の発症までの期間は、一般的には、免疫反応の関与が考えられる抗菌薬、解熱消炎鎮痛薬、抗不整脈薬(アミオダロン)、抗リウマチ薬(金製剤、メトトレキサート)、インターフェロン、漢方薬(小柴胡湯)などでは1~2 週間、細胞傷害性薬剤である抗悪性腫瘍薬では数週間から数年で発症することが多いとされる。ただし、これに当てはまらない場合もあり、抗悪性腫瘍薬でも早期に発症する場合がある。癌分子標的治療薬であるゲフィチニブでは4週間(特に2週間)以内にみられる事が多いことが知られている。

(2)投薬上のリスク因子
抗悪性腫瘍薬の投与量と肺毒性に関してはブレオマイシンやマイトマイシンC で報告がある。
ブレオマイシン:個人差はあるが全投与量が450~500 mg/m2 を越えると毒性が急速に上がるとされる。腎排泄が80%以上なので腎機能評価も重要である。また、放射線照射の併用あるいは既往もリスクを上昇させる。高濃度酸素投与やG-CSF の併用もリスクであるとする報告がある。
マイトマイシンC:ブレオマイシンほど確立してはいないが、間質性肺炎例の多くが全投与量10 mg/m2 以上との報告がある。シクロホスファミドやブスルファンの肺毒性は投与量に依存せず、少量の場合でも発症することがある。パクリタキセルなどのタキサン系抗腫瘍薬やAra-C 類似化合物のゲムシタビンなどによる間質性肺炎も良く知られているが、その投与量と発症の関係は不明である。
抗不整脈薬のアミオダロン:肺毒性報告例は1 日量400 mg 以上の場合が多いとされる。

(3)早期発見に必要な検査と実施時期
医薬品の服用後、1~2 週程度で、患者が予想外の発熱、息切れ・呼吸困難、乾性咳などを訴えた場合は、ただちに、血液検査を行い、CRP、LDH、KL-6、SP-D 等のマーカーを検索すると同時に、胸部X線写真、胸部CT、動脈血ガス分析などを早急に進める。抗悪性腫瘍薬を投与する際および投与後の経過観察では、定期的に、血液検査、胸部X線写真を撮影し、息切れ、咳などの症状が出現した場合には、すぐに動脈血ガス分析、胸部CT を行う。ことにHRCTを含む胸部CTは病型や病変の広がりを判断する上で重要である。

●副作用の概要
薬剤性間質性肺炎は、1980 年以前にはブレオマイシンや金製剤による報告が多く、それ以後は抗菌薬、解熱消炎鎮痛薬、漢方薬、インターフェロン、各種抗悪性腫瘍薬、免疫抑制薬など多くの薬剤による報告がなされた。また、上皮成長因子受容体 (EGFR) チロシンキナーゼ阻害を機序とした分子標的薬ゲフィチニブなど新規抗悪性腫瘍薬による間質性肺炎が報告されている。薬剤性間質性肺炎は、直接的細胞傷害作用(医薬品自体、他の医薬品との相互作用、代謝の異常などによる医薬品の蓄積)や間接的細胞傷害作用(炎症やアレルギー)により発症すると考えられている。

発生機序
大きく2 種類に分けられる。一つは、抗悪性腫瘍薬のような細胞傷害性薬剤によって肺の細胞自体が傷害を受けて生じるもので、使用してから発症まで慢性(数週間~数年)に経過するタイプである。もう一つは、医薬品に対する免疫反応が原因と考えられるもので、医薬品の使用後、急速(1~2 週間程度)に発症するとされる。ただし、抗悪性腫瘍薬でも後者の発症様式をとるもの、またゲフィチニブのように発生機序がよくわかっていないものもある。

・医薬品ごとの特徴
抗菌薬による間質性肺炎では、pulmonary infiltrates with eosinophilia いわゆるPIE 症候群の形をとるのが典型とされる。非ステロイド性抗炎症薬では、非心原性肺水腫ないし過敏性肺炎の形をとるとされる。

●治療方法
治療としては、まず原因と推測される医薬品を中止することである。急速に増悪する場合や重症例では、パルス療法を含めたステロイド剤投与が行われる。
処方例:
① メチルプレドニゾロン 1 g/日3 日間(点滴静注)
② 以後プレドニゾロン 1 mg/kg 体重/日
症状が安定したら2 割ずつ2~4 週ごとに漸減。

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2010年2月 9日 (火)

偽アルドステロン症

患者さんに対して:
「「手足のだるさ」、「しびれ」、「つっぱり感」、「こわばり」がみられ、これらに加えて、「力が抜ける感じ」、「こむら返り」、「筋肉痛」が現れて、だんだんきつくなる」

Pseudohyperaldosteronism

偽アルドステロン症は、低カリウム血症を伴う高血圧症を示すことから、低カリウム血性ミオパチーによると思われる四肢の脱力と、血圧上昇に伴う頭重感などが主な症状となる。筋力低下の進行により歩行困難、さらには起立不能となり、入院となる例が多い。初期症状に気付きながらも受診せず、起立・歩行困難になるなど重症化させてしまう例が多い。

注意しなければならないのは、血漿アルドステロン濃度 (PAC) がむしろ低下を示す症候群である。

薬剤性の偽アルドステロン症の治療としては、推定原因医薬品の服用を中止することが第一である。低カリウム血症に対してカリウム製剤を投与することも多いが、尿中へのカリウム排泄を増すばかりで、あまり効果がないとされる。抗アルドステロン薬であるスピロノラクトンの通常用量の投与が有効である。適切な対応が行われれば、予後は良好である。甘草を原因とするものでは、甘草含有物の摂取中止後、数週間の経過で臨床症状の消失と血清カリウムの上昇をみることが多い。

なお、アルドステロンは、遠位尿細管で、尿細管細胞の尿細管腔側(刷子縁膜側:brush boder:apical site)では、Na+チャ ネルENaC) を活性化させ、尿細管腔内(原尿中)のNa+を細胞内に流入させ、基底膜側(血管側:basolateral site)では、Na+/K+-ATPase(Na pump)を活性化させ、Na+を細胞内から細胞外(血液中)に汲み出すことで、 Na+の再吸収を促進させる。この結果(原尿中からNa+が細胞内に流入した結果)、尿細管腔側にはマイナス電位(陰 性荷電)が生じ、管腔側膜の電位依存性Kチャネルから、K+が、原尿中に排泄(放出)される。腎臓の集合管(集合尿細管) で行われるK+排泄は、体内のK調節に最も重要であり、主に、アルドステロンが調節している

原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA)は、アルドステロンの過剰分泌でナトリウム(Na)貯留に傾き体液増加に従って高血圧が生じ、同時にカリウム(K)排泄増加 による低K血症、アルドステロンそのものによる臓器障害(脳出血、脳梗塞、心筋梗塞、心肥大、不整脈、腎不全等)を示す疾患である。臨床調査研究分野の対象疾患(130疾患)の一つである。

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2010年2月 4日 (木)

OHSSとは

女性の卵巣は親指大ほど(3~4cm)の臓器ですが、その中の卵(卵胞)が過剰に刺激されることによって、卵巣が膨れ上がり、腹水や、ときに胸水な どの症状が起こることをOHSS(卵巣過剰刺激症候群Ovarian hyperstimulation syndrome)と呼びます。

OHSSは排卵誘発の際に、過剰に卵胞が刺激されることが1つの原因です。経口剤のクロミフェン療法で発症することは稀で、hMG-hCG療法(ゴ ナドトロピン)で発生しやすいことが知られています。

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)のhMG-hCG療法ではOHSSや多胎妊娠の発症頻度が高く、OHSSの発症率は10%程度、多胎妊娠が30%程 度と言われ、いったん重度のOHSSを経験すると、2度と同じような治療が受けられなくなることがあります。

【原因】

卵巣内の卵胞が一気に成長してしまい、それに伴い卵巣が腫大して、その表面の血管から水分が腹腔内へ漏出することが原因となります。

漏出された水分は腹水として貯留され、血液が濃縮して尿量が減少するようになります。その結果、腎機能障害、電解質異常、血栓症、呼吸障害などを引 き起こします。

卵胞が一気に成長してしまう原因としましては、過剰な卵巣刺激がE2(エストラジオール)の高値を示す誘因となり、さらに排卵誘発を行なう際の hCGが、卵胞を必要個数以上に成長させてしまうのです。

OHSSは軽症、中等症、重症と分類されています。hMG-hCG療法において、治療が必要となる重症OHSSは約3%、ARTの場合は5~15% が認められました。また多量のhMGとhCGを使用しない排卵誘発の場合はOHSSを発症することは稀です。

参考URL:

http://www.ikujizubari.com/infertility/OHSS.html

http://www.towako-fujino.com/f-ga.html

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2010年1月22日 (金)

ARDSとは

急性呼吸窮迫症候群 (きゅうせいこきゅうきゅうはくしょうこうぐん、acute respiratory distress syndrome, ARDS) とは、臨床的に重症の状態の患者に突然起こる呼吸不全の一種である。特に発症前後の状態を急性肺傷害 (acute lung injury, ALI) と言う。
診断は下記の通り

  • 身体に対する侵襲が以前に存在すること

    • 肺(誤嚥、重症肺炎、肺挫傷)

    • 肺外(ショック、多臓器障害など)

  • 除外疾患

    • 慢性肺疾患

    • 左心不全(肺動脈楔入圧が12cmH20以下)

  • 呼吸困難症状があること

    • 多呼吸(20回/分以上)

    • 努力呼吸

  • 胸部レントゲン所見

    • びまん性侵潤影(初期は間質パターン、後に肺胞)

  • 検査所見

    • FiO>0.6でPaO<50mmHg

    • Total Respiratory Compliance<=50ml/HO(通常20~30)

    • 右左シャント、死腔換気の増大

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