研究・試験・疫学

2010年3月 7日 (日)

パロキセチンとタモキシフェンの併用について

BMJに前向き研究が掲載されました。

タモキシフェンは薬物代謝酵素CYP2D6により代謝を受け活性代謝物であるエンドキシフェンなどに変換されて効果を発揮しますが、この酵素阻害作用を有するパロキセチンを併用(がんに伴ううつなどに対して)すると、TAMの効果が減弱するということが明らかになりました。

タモキシフェン使用期間の25%に相当する期間にパロキセチンを併用していた患者では、乳癌死亡の調整ハザード比は1.24(95%信頼区間 1.08-1.42)、50%の期間で併用していた患者群では1.54(1.17-2.03)、75%の期間併用していた患者では 1.91(1.26-2.89)でした。

全死因死亡についても同様で、パロキセチン併用期間がタモキシフェン使用期間の25%だった患者の調整ハザード比は1.13(1.05-1.23)、50%では1.28(1.11-1.50)、75%では1.46(1.15-1.84)でした。

パロキセチン併用の絶対リスクについては、パロキセチンの平均併用期間はタモキシフェン治療期間の41%であり、このレベルの併用は、タモキシフェン投与完了後の5年間に19.7人(95%信頼区間12.5人-46.3人)に1人の割合で乳癌死亡を増やしていました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年3月 6日 (土)

感度、得意度、陽性的中度

【設定1】
胃癌のスクリーニング検査で母親が陽性となった。どうする?
【設定2】
市販の妊娠検査キットで恋人が陽性となった。どうする?

陰性・陽性という2値の値をとる検査の性質は,感度(sensitivity)と特異度(specificity)で規定される。疾患ありに対して陽性と なる真陽性率が感度,疾患なしに対して陰性となる真陰性率が後者である。上記2設定に対して感度はともに90%,特異度はともに95%としよう。この仮定 により,上記2設定のデータ発生メカニズムは同様,データも同様ということになる。しからば行動も同じになるべきであろうか?

「fig3.png」をダウンロード

 おそらく設定1での合理的行動は,不安を抱かせず精密な検査を受けさせることであろう。設定2でのそれは状況に依存するが,喜ぶか慌てるかであろう。この違いは事前確率の違いに起因する。図3に示すように,胃癌スクリーニング対象者中での胃癌の事前確率はきわめて小さい。ここでは1,000人中5人の0.5%としよう。5人の癌患者のうち 4.5人は陽性と診断され,癌なし対象者995人のほとんどは陰性と診断されるものの,5% 49.75人が陽性と診断されてしまう。したがって陽性者のうち真に癌ありの患者の割合(事後確率)はわずか8.3%になってしまう。この事後確率のこと を陽性的中度ともいう。スクリーニング検査においては陽性的中度は低く,一方,陰性の場合に癌なしの陰性的中度は高い。つまり陰性のときに安心し,陽性の ときには慌てず再検査を受ければよいのである。
 一方妊娠検査では,事前の確率はおそらく高い。付帯状況が存在しなければ誰もあえて検査を受けないであろうから。仮に事前の確率を50%とすると,陽性的中度・陰性的中度は94.7%,90.5%とともに高い。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年3月 4日 (木)

NCT番号

米国では,1997年11月に施行されたFDA近代化法(F D A M A)により,重篤または生命を脅かす疾患を適応症として行われる臨床試験の登録が義務付けられた。これに対応するため,国立医学図書館(National Library of Medicine)によって2000年2月に,臨床試験登録サイトとしてClinicalTrials.govが開設された1)。その後,F D Aに医薬品を申請するためには,その臨床試験をClinicalTrials.govへ事前登録することが義務化され,2009年8月現在,米国内外(172か国)で実施された試験76,000件以上が登録されており,世界最大級の臨床試験登録サイトを構成している。

臨床試験の実施内容や詳細な試験結果は,創薬の基礎的段階から開発治験に至るすべての段階で極めて重要な情報であり,詳細なデータの入手が求められる情報の一つである。

PubMedへのリンクは,その文献のタイトル等の書誌事項としてClinicalTrials.gov上で表示される。

一方,PubMed側では,Secondary Source ID ([SI])フィールドに“ClinicalTrials.gov”としてNCT番号が収録されている。しかし,ClinicalTrials.govでPubMed
へのリンクが付与されている文献のすべてに,PubMedでNCT番号は収録されているわけではない。[SI]フィールドに“ClinicalTrials.gov”を持つ文献数は4,113件(2009年8月28日)であり,ClinicalTrials.govに収録されているPMIDが71,827件(重複を含む)であることと比較すると,現在のところ,実際上はClinicalTrials.govからの一方方向のリンクが果たされ
ているものと言える。N C T番号が[ S I ]フィールドに収録されている場合には,P u b M e dのL i n k O u tを利用することで,容易にPubMed側からClinicalTrials.govに登録された試験情報へたどることができる。このP u b M e d側からのL i n k O u tを利用できるのは,2005年以降に出版された文献に限られる。

In July 2005, NLM began to include the ClinicalTrials.gov registry number in the MEDLINE record when the number is published as part of the original paper. The format for the ClinicalTrials.gov registry number is “NCT” followed by an 8-digit number, e.g.: NCT00000419.

In PubMed, registry numbers are included in the Secondary Source ID  (SI) field, and searchable using the [si] tag, e.g.,

nct00000419 [si]

To retrieve all records in PubMed that list trial registration in ClinicalTrials.gov, search:

clinicaltrials.gov [si]

Other identification numbers may be assigned to a trial by the institute, agency, or organization sponsoring the trial, e.g., NEI-63. These additional numbers are part of the ClinicalTrials.gov registry databank and may be searched directly in that databank to discover the “NCT” number; these additional numbers will not be carried in the MEDLINE record.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年2月 8日 (月)

Dose Intensity とは

①RDI(Relative Dose Intensity)= dose intensity/planned dose intensity × 100

ex.) L-OHP 4Cycle
 planned dose intensity (mg/m2/week)=85 (mg/m2)×4 (cycle)/8 (week)

②DI; dose intensity(mg/m2/week)=L-OHP Total Dose(mg/m2)/投与期間(week)

ex.)1~4サイクルRDI算出時の投与期間
 投与期間(week)={4サイクル目投与日一1サイクル目投与日+14}/7

③完遂率(%)=100%RDIを達成した症例数/検討を行った症例数×100

だそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年1月13日 (水)

POC試験とは

Proof of Concept (概念実証)。新薬候補物質の有効性や安全性を臨床で確認し、そのコンセプトの妥当性を検証すること。したがって、PhaseⅠ~Ⅱあたりがこれにあたる(ということでいいのか?)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年12月 8日 (火)

アウトカムとエンドポイント

<p><p><p>疾患や治療のアウトカムとは</p></p></p>

アウトカムOutcomeは転帰と訳されるが,危険因子や治療などの予知因子Predictorによる影響を知るために測定する指標あるいは項目と考えることができる。つまり,効果測定指標、効果測定項目である。たとえば,抗癌剤のランダム化比較試験であれば,抗癌剤またはプラセボ(あるいは従来の抗癌剤)による治療が予知因子であり,その効果を測定する指標は生存Survival,健康関連QOL Health-related quality of life(HR-QOL)などとなる。したがって,この場合のアウトカムは生存やHR-QOLということになる。

アウトカムの内,最終的に測定されるものはエンドポイントEnd pointと呼ばれる。さらに,エンドポイントの一番重要なものは主要エンドポイントあるいは一次エンドポイントPrimary end pointと呼ばれ、それ以外は副次エンドポイントと呼ばれる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)